弓のポーズ (ダヌラーサナ) のやり方・効果・アライメント | ヨガポーズ解説
Sep 04, 2026弓のポーズで上体がなかなか上がらないのは、腕の力で引っ張ろうとしているのが原因のことが多いです。
このポーズの主役は脚。
両足で後ろへ思いっきりキックすると、足首をつかんだ手を通して、上半身がひとりでに引き起こされます。
始める前に肩甲骨を背中で寄せておき、膝は腰幅のまま。
難しければ、太ももを床につけたままの簡単な弓のポーズ (サラール・ダヌラーサナ) から始めましょう。


弓のポーズとは
ダヌラーサナ (弓のポーズ) は、うつ伏せで両手それぞれの足首をつかみ、脚のキックの力で上体と太ももを引き上げる後屈のポーズです。
反った体が弓、伸ばした腕が弦にあたります。
弓のポーズの名前の意味
ダヌラーサナは、サンスクリット語の Dhanura (弓)+Asana (ポーズ) を組み合わせた名前で、「弓のポーズ」という意味です。
弓のポーズのやり方とアライメント

| 部位 | 動き | 意識すること |
|---|---|---|
| 手・指 | 足首を外側からつかむ | 両手でそれぞれの足首を、外側からつかむ |
| 手首・前腕 | 前腕は回内、指は屈曲して握り続ける | 足首をつかんだ手は、最後までほどかずに握っておく |
| 肘・上腕 | 伸展 | ひじは曲げずに伸ばしたまま、腕は後ろへ引かれるのに任せる |
| 肩・肩甲骨 | 内転 (背中で寄せる) | 始める前に肩甲骨をグルッとひと回しして、背中の後ろで寄せておく |
| 脊柱 | 伸展 (前側を伸ばした結果として) | 「反る」のではなく、胸からももまで体の前側を長く伸ばす |
| 体幹・腹部 | 床との接点として使い、力は抜き切らない | 吸ってお腹をふくらませ、吐くたびに高さを保ったまま、お腹の前側を長く伸ばす |
| 股関節 | 伸展と内転 | 持ち上げる力は脚の付け根から。お尻ともも裏で脚を後ろへ押し上げる |
| もも・膝 | 膝は屈曲・両膝は腰幅 | 両膝は腰幅のまま、外へ開かせない |
| すね・足首 | 底屈しつつ、足の筋肉をはたらかせる | 足首から先も遊ばせず、足の筋肉をはたらかせておく |
| 足・かかと・指 | 後ろへキックする (ポーズの主役) | 両足で後ろへ思いっきりキックする |
弓のポーズの解剖学
- 働く筋肉
- 脊柱起立筋・大殿筋・ハムストリング・三角筋・菱形筋・上腕三頭筋
- 伸びる筋肉
- 腹直筋・大胸筋・腸腰筋・大腿四頭筋・三角筋・胸鎖乳突筋
使われる筋膜ライン
手で足首をつかんで弓なりに反ると、体の前面のスーパーフィシャル・フロント・ライン (表層フロントライン、SFL) に加え、腸腰筋を通るディープ・フロント・ライン (深層前面のライン、DFL) まで深く伸びます。
弓の弦のように張力を生むのは、背面を走るスーパーフィシャル・バック・ライン (表層バックライン、SBL) の収縮です。
筋肉の使い方と相反神経支配
膝を後ろへ押し出すハムストリングと大殿筋が「弓を張る」主役で、脊柱起立筋と菱形筋がその力を胸の開きへつなげます。
脚の後面を強く使うほど、相反神経支配 (reciprocal inhibition=相反抑制) によって大腿四頭筋や腸腰筋が緩み、前面の伸びが深まる仕組みです。
腕の力で引くのではなく脚の力で弓を張り、腰を沈めず背中全体を均等に反らせましょう。
ミスアライメントと修正
① 上体がなかなか上がらない
腕の力で引き上げようとしている。主役は腕ではなく脚のキック。
修正 両足で後ろへ思いっきりキックする。足首をつかんでいるぶん、キックの力が上半身を引き起こす。
② 膝が外に開いてガニ股になる
構造上、膝が外へ開きやすいポーズ (骨盤の広い方はほとんど開く)。開いたままだと膝に負担が集まる。
修正 両膝を腰幅まで閉じてキープする。
③ 腰が痛い・腰だけで反っている感じがする

「反ろう」とすると動きが腰に集中する。前側を伸ばした結果として反るのが正しい順序。
修正 胸からももまで体の前側を長く伸ばす意識に切り替える。お腹の力は抜き切らない (腰の反りすぎを防ぐブレーキになる)。

④ 肩の前がつまる・痛い
縛られたポーズの力は、肩関節の前側に向かいやすい。
修正 始める前に肩甲骨をひと回しして背中で寄せる。キープ中も肩甲骨を固めず、動かせる余地を残す。
⑤ 体が前後に揺れて止まれない
呼吸のたびにお腹が床を押すので、体が揺れるのは自然なこと。
修正 吸うたびに揺らして動を探究してもよいし、呼吸の向きを変えて揺れを最小にする静の探究もよい。どちらも練習になる。
軽減法・プロップの使い方

- サラール・ダヌラーサナ (簡単な弓のポーズ): 太ももを床につけたまま、上体だけ起こす
- キープは3呼吸から始める
注意が必要な人
- 妊娠中の方 (腹部を圧迫するポーズは注意または回避する)
ヨガでのダヌラーサナの実践・使われ方
ダヌラーサナは、インテグラル・ヨガで基本とされる12のポーズの8番目に数えられ、標準的なハタヨガのクラスで行う3つのバックベンドのうち最後に位置づけられることが多いポーズです。
マニプーラ・チャクラへの刺激
ヨガの伝統では、ダヌラーサナはへその少し上にあるマニプーラ (太陽神経叢) チャクラを刺激すると考えられています。
このチャクラが活性化すると消化の働きが高まり、プラーナ (生命エネルギー) の流れが促されるとされます。
マニプーラはまた自己の核となる部分と結びついており、自分らしさの感覚や自信を育む助けになるとも言われています。
ストラップや毛布を使った調整
体が硬く足首に手が届きにくい場合は、ストラップを使って足に届かせる方法があります。
太ももを床から持ち上げにくいときは、脚の下に毛布を敷いて高さを補うこともできます。
より深めたい場合は、太もも・膝・ふくらはぎ・足の内側をぴったり合わせて行うと、ポーズの効果を高められます。
ダヌラーサナの関連用語
- アーサナ
- マニプーラ
- プラーナ
- ハタヨガ
- アシュタンガ・ヨガ
弓のポーズに関するよくある質問
腰が痛くなります。なぜですか?
A. 「反ろう」とすると、動きが腰に集中します。
正しい順序は逆です。
前側を伸ばした結果として反るのがこのポーズです。
胸からももまで、体の前側を長く伸ばす意識に切り替えてください。
あわせて、お腹の力は抜き切らないでください。
これが腰の反りすぎを防ぐブレーキになります。
うまくできません。どうすればいいですか?
A. 上体が上がらないのは、腕の力で引き上げようとしているからです。
主役は腕ではなく脚のキックです。
両足で後ろへ思いっきりキックしてください。
足首をつかんでいるぶん、そのキックの力が上半身を引き起こします。
膝が外に開いてガニ股になるのは、構造上そうなりやすいポーズだからです (骨盤の広い方はほとんど開きます)。
ただし開いたままだと膝に負担が集まるので、両膝を腰幅まで閉じてキープしてください。
なお、体が前後に揺れるのは自然なことです。
呼吸のたびにお腹が床を押すためです。
揺れを楽しんでも、呼吸の向きを変えて揺れを最小にしても、どちらも練習になります。
肩の前がつまります。なぜですか?
A. 縛られたポーズの力は、肩関節の前側に向かいやすいためです。
始める前に、肩甲骨をひと回しして背中で寄せてください。
キープ中も肩甲骨を固めず、動かせる余地を残します。