ダウンドッグ (アド・ムカ・シュバナーサナ) のやり方・効果・アライメント | ヨガポーズ解説
Aug 23, 2026ダウンドッグで手首が痛くなる一番の原因は、体重が手首に乗りすぎていることです。
腕の使い方 (上腕の外旋・前腕の内旋) と重心の位置を直すと、体重が手のひら全体と脚に分散して、手首の負担は大きく減ります。


ダウンドッグとは
ダウンドッグ (アド・ムカ・シュバナーサナ) は、両手と両足を床につけて体で三角形を作る、ヨガで最も基本的なポーズの1つです。
全身の背面を伸ばしながら、腕と脚に体重を分散させて土台を作ります。
ダウンドッグの名前の意味
- 日本語
- 顔を下に向けた犬のポーズ
- 英語
- Downward Facing Dog Pose
- サンスクリット語
- Adho Mukha Svanasana(アド・ムカ・シュバナーサナ)
単語の意味
- Adho下向きの
- Mukha顔、口
- Svana犬
- Asanaポーズ
別の言い方
- 日本語
- 下向きの犬
- 英語
- Down Dog
ダウンドッグのやり方とアライメント

| 部位 | 動き | 意識すること |
|---|---|---|
| 手・指 | 手の内在筋群をはたらかせる | 指の間を開いて、手のひら全体で床をとらえる |
| 手首・前腕 | 回内 (内旋) | 人差し指の付け根で床を押す |
| 肘・上腕 | 外旋・伸展 | 脇を軽く締めて、肘は伸ばす |
| 肩・肩甲骨 | 肩甲骨は上方回旋と挙上・肩関節は屈曲 | 肩を耳から遠ざける |
| 頭頸部・視線 | 脱力させて伸ばす | 首の力を抜いて、頭は両腕のあいだに預ける |
| 脊柱 | 中立 | 背骨を長く保つ |
| 体幹・腹部 | 下腹をはたらかせたまま保つ | 吐く息でお腹を深く使い、その状態のまま吸う |
| 骨盤 | 前傾 | お尻を斜め上に引き上げる |
| 股関節 | 屈曲 | 脚のつけ根から折りたたむ |
| もも・膝 | 伸展。屈曲も可 | もも裏が硬ければ膝は曲げてよい |
| すね・足首 | 背屈 | かかとは床のほうへ下ろしていく。柔軟性があれば床につけ、届かなければ浮いたままでよい |
| 足・かかと・指 | 足のアーチを保つ | 足の指の付け根で床をとらえ、足裏のアーチを保つ |
ダウンドッグの解剖学
ダウンドッグの効き方は、筋膜のつながりと神経の反射という2つの視点から読み解けます。
体の後面を1本につなぐ筋膜ライン「スーパーフィシャル・バック・ライン」
足裏の足底筋膜からふくらはぎ、ハムストリングス (もも裏の筋群)、仙結節靭帯、脊柱起立筋を経て、後頭部から眉の上までを1本につなぐ筋筋膜の連結を、スーパーフィシャル・バック・ライン (Superficial Back Line=表層バックライン、以下スーパーフィシャル・バック・ライン) と名づけたのは、筋膜解剖の定番書『アナトミー・トレイン』 (トーマス・マイヤース著) です。
同書には「スーパーフィシャル・バック・ラインのストレッチはダウンドッグの主要な作用である」と明記されています。
鍵は膝の状態です。
膝が伸びている間、SBLは1本の連続したラインとして機能するため、膝を伸ばすダウンドッグでは足裏から背中まで後面全体をまとめてストレッチでき、膝を曲げるチャイルドポーズなどでは作用がラインの上部にとどまります。
相反神経支配でもも裏の伸びを深める
ポーズをさらに深める助けになるのが、相反神経支配 (reciprocal inhibition=相反抑制) という神経の仕組みです。
これは主動筋が収縮すると拮抗筋が自動的に弛緩する脊髄反射のことで、『キー・ポーゼズ・オブ・ヨガ』は意識的に使ってポーズを深められる原理だと解説しています。
同書はダウンドッグについても「大腿四頭筋が膝を伸ばし、それによってハムストリングス・腓腹筋・ヒラメ筋がストレッチされる」と述べており、この膝の使い方はまさに相反抑制の応用にほかなりません。
『サイエンス・オブ・ヨガ』によれば、数呼吸の間、意識して大腿四頭筋を引き締めると、その神経がハムストリングスへ「もっとリラックスしてストレッチするように」というメッセージを送ります。
実践では、膝のお皿を引き上げるように大腿四頭筋を働かせ続けてみてください。
もも裏の力みが自然に抜け、かかとを床へ近づける伸びがさらに深まるはずです。
ミスアライメントと修正
① もも裏が硬く、背中が丸まる

修正 膝を曲げてください。
背骨がまっすぐ伸びる位置まで曲げてよく、かかとが浮いても構いません。
このポーズで優先するのは、膝の伸びではなく背骨の長さです。
② 腕で床を押せず、肩が落ちる

修正 手のひら全体で床を押し返します。
指の間を開き、人差し指の付け根で床をとらえてください。
そうすると肩甲骨が左右に広がり、沈んでいた胸が持ち上がってきます。
③ 重心が前に残り、手首に体重が集まる

修正 坐骨を斜め後ろ上へ引き上げ、体重を脚のほうへ送り返してください。
手首の負担が減り、手のひら全体に重さが分散するはずです。
④ 骨盤が倒れすぎて腰が反る

修正 吐く息で下腹を引き入れ、前に飛び出した肋骨を締めてください。
腰の反りが止まり、背骨がまっすぐな線に戻るはずです。
症状から探す
- 手首が痛い
上腕の外旋・前腕の内旋、重心を後ろへ移す - 肩がつまる・首が痛い
上腕を外旋させて、肩と耳のあいだに距離をつくる - もも裏がつっぱって背中が丸まる
膝を曲げて、背骨の伸びを優先する - かかとが床につかない
かかとは上げたままでよい。まず背骨を伸ばす - 腰が落ちて反る
吐く息のたびに下腹を背骨のほうへ引き入れ、腰の自然なカーブを保ったままお尻を斜め上へ引き上げ直す - 手のひらの真ん中が浮く
指の間を開き、手のひら全体を吸盤のように床へ密着させる
軽減法・プロップの使い方


ねらい 体が硬い人は「背骨を伸ばす」ことを優先する。体が柔らかい人は「腕と体幹で支える」ことを優先する
- 膝を曲げる
- かかとを浮かす
注意が必要な人
- 手首の怪我がある方
- 高血圧の方は頭を下げる時間を短めに
- 緑内障・網膜剥離のある方 (頭を下げるポーズは眼圧が上がる)
ダウンドッグのよくある質問
- ダウンドッグは何秒キープすればいいですか?
- 5呼吸 (およそ30秒) が目安です。慣れないうちは3呼吸で下りて構いません。長く保つことより、背骨が伸びた状態を保てているかを優先してください。背中が丸まってきたら、それが下りる合図です。
- ダウンドッグは毎日やっても大丈夫ですか?
- 毎日行って問題ないポーズです。ただし手首に痛みが残っている日は休み、手のひら全体で床を押す感覚が戻ってから再開してください。痛みを我慢して続けると、体重が手首の一点に乗る癖がそのまま定着してしまいがちです。
- ダウンドッグをすると頭に血がのぼって気持ち悪くなります。なぜですか?
- 頭が心臓より低い位置に来るので、血圧の変化に体が慣れていないうちは起こりやすい症状です。キープを3呼吸ほどに短くし、下りるときはいったん膝をついて休んでから、頭をゆっくり上げてください。高血圧・緑内障・網膜剥離のある方は、事前に医師へご相談を。
- どんな効果がありますか?
- 全身の背面を伸ばしながら、腕と脚に体重を分散させて土台を作るポーズです。 伸びるのはハムストリング・大殿筋・腓腹筋・広背筋。はたらくのは、肩甲骨を支える前鋸筋、肩関節を安定させる腱板、肘を伸ばす上腕三頭筋、背骨を支える脊柱伸筋群と脊柱屈筋群です。
- うまくできません。どうすればいいですか?
- かかとは床につかなくても大丈夫です。 かかとが床につくかどうかは柔軟性で決まります。無理に下ろすと背中が丸まるので、届かない場合は浮かせたままにしてください。 もも裏が硬ければ、膝は曲げてかまいません。 膝を曲げて坐骨を高く上げると、背中がまっすぐになります。 どちらも、膝を伸ばすことより背骨の伸びを優先する、という順番です。
- 腰が痛くなります。なぜですか?
- 腰が落ちて反っているときに起こりやすいでしょう。お腹の力が抜けて、腰を支えられていない状態です。 吐く息のたびに下腹を背骨のほうへ引き入れ、腰の自然なカーブを保ったまま、お尻を斜め上へ引き上げ直してください。 痛みが出るときは無理に続けず、気になる場合は医師に相談しましょう。